お気に入りの音楽を楽しもうとイヤホンを耳に入れた瞬間、「ザー」という砂嵐のような音や、「ジジジ」という不快な音が聞こえてくると、せっかくの気分も台無しになってしまいます。「もしかして買ったばかりなのに故障?」「安物買いの銭失いだったかな……」と不安になる方も多いでしょう。
しかし、焦って買い替えるのは少し待ってください。実はワイヤレスイヤホンの雑音は、故障ではなく「設定」や「環境」の問題であることが非常に多いのです。特に、最近の高性能なノイズキャンセリングイヤホンや外音取り込み機能付きのモデルほど、仕様として特定の音が鳴りやすい傾向にあります。
この記事では、聞こえてくるノイズの種類から原因を特定し、自宅で今すぐできる「ノイズの消し方」を徹底解説します。修理に出す前に、まずはこの手順を試してみてください。
この記事のポイント
- 「ザー(砂嵐)」と「ジジジ(干渉)」は発生原因がまったく異なる
- ホワイトノイズは故障ではなく、アプリ設定で消せる場合がある
- 「ビリビリ」という振動音は、スピーカー部分の故障や汚れの可能性が高い
- 多くのノイズトラブルは、完全リセットと再接続で劇的に改善する
ワイヤレスイヤホンの雑音「ザー」や不快な異音が起きる原因

一口に「雑音」と言っても、その音色はさまざまです。まずはあなたが今聞いているその音が、どのような種類の音なのか耳を澄ませてみてください。「ザー」なのか「ジジジ」なのか、それとも「ビリビリ」なのか。音の種類によって、対処すべき原因が明確に分かれます。
以下に、音の種類別の主な原因をまとめました。
| 音の種類 | 表現の例 | 主な原因 | 深刻度 |
| 砂嵐音 | ザー、サー、シャー | 外音取り込み、ANCの仕様(ホワイトノイズ) | 低 |
| 機械音 | ジジジ、ジー、ブツブツ | Bluetoothの電波干渉、通信不安定 | 中 |
| 振動音 | ビリビリ、バリバリ | ドライバー(振動板)の破損、異物混入 | 高 |
| 高周波 | キーン、ピー | ハウリング(マイクとスピーカーの干渉) | 中 |
「ザー」という砂嵐のような音はホワイトノイズの仕様?
「ザー」あるいは「サー」という、テレビの放送終了後の砂嵐のような音が聞こえる場合、もっとも可能性が高いのは**「ホワイトノイズ」**です。
これは故障ではなく、イヤホンの仕様であるケースが大半です。特に以下の機能が搭載されているモデルで顕著に発生します。
- アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能
- 外音取り込み(アンビエント)機能
ノイズキャンセリングは、周囲の騒音をマイクで拾い、それとは逆の波形の音(逆位相)をぶつけて騒音を消す仕組みです。この処理を行う際、電気的な微弱なノイズが「ザー」という音として残留してしまうことがあります。これを「ノイズフロア」と呼ぶこともあります。
また、外音取り込み機能をONにしている場合、周囲の音をマイクで増幅して耳に届けるため、静かな部屋にいると空気の流れる音やマイク自体の感度ノイズが「ザー」と聞こえやすくなります。音楽を再生すれば気にならないレベルであれば、製品の仕様の範囲内と言えます。
「ジジジ」や「ジー」という機械的な雑音は電波干渉
「ジジジ」「ジー」「プツプツ」といった、何かが途切れるような機械的な雑音が混じる場合、原因は**「電波干渉」や「通信の混雑」**です。
Bluetooth接続は「2.4GHz帯」という周波数を使用していますが、この周波数帯は非常に混雑しています。以下のような場所やモノが近くにありませんか?
- 電子レンジ: 使用中は強力な電波干渉が発生します。
- Wi-Fiルーター: 特に2.4GHz帯のWi-Fiを使用している場合。
- 人混み(満員電車・交差点): 他の人のBluetooth機器やWi-Fi端末が密集している場所。
- Bluetoothマウスやキーボード: 複数の機器を同時接続している場合。
これらの電波がイヤホンの通信を邪魔することで、データが正しく届かず「ジジジ」というノイズや音飛びに変換されてしまいます。特に安価なイヤホンや、古いBluetooth規格(4.0以下など)を使っている場合、この干渉を受けやすくなります。
Bluetoothイヤホン特有の「ビリビリ」音は振動板の異常かも
もし、低音が鳴った時や音量を上げた時に**「ビリビリ」「バリバリ」という音がする場合、これは少し注意が必要です。通信の問題ではなく、物理的な「音割れ」や「ドライバーユニット(スピーカー部分)の異常」**の可能性が高いからです。
考えられる主な物理的原因:
- イヤホン内部への異物混入: 耳垢や小さなゴミが、音が出るメッシュ部分に入り込み、振動板に触れてビビリ音を出している。
- 水没や汗: 内部の回路がショート気味になっている、または振動板に水滴が付着して正常に振動していない。
- 経年劣化・破損: 長期間の使用や落下時の衝撃で、振動板自体が破れたり変形したりしている。
「ビリビリ」という音は、設定変更では直らないケースが多く、清掃で改善しなければ修理や買い替えが必要になる典型的なサインです。
ノイズが酷い・止まらない場合に考えられるその他の要因
上記以外にも、「ワイヤレスイヤホン ノイズ 酷い」と感じるシチュエーションとして、以下のようなケースがあります。
1. PC(パソコン)接続時のみ音が悪い
Web会議などでPCに接続した際、急に「ザー」というノイズが入ったり、ラジオのような低音質になったりすることがあります。これはPC側が**「ハンズフリープロファイル(HFP/HSP)」**という、通話用の低音質モードで接続していることが原因です。音楽用の「A2DP」プロファイルではなく、マイクを優先するモードに切り替わっているため、必然的に「サー」というノイズが目立ちます。
2. バッテリー残量の低下
イヤホン本体、または送信側(スマホなど)のバッテリーが残りわずかになると、通信出力が安定せず、ノイズが乗りやすくなります。
3. コーデックの不一致
送信側と受信側の圧縮方式(コーデック)の相性が悪い、または設定がうまくいっていない場合に、デジタル特有のノイズが発生することがあります。
ワイヤレスイヤホンの雑音「ザー」を直す効果的な対処法

原因の目星がついたら、次は実際に「ノイズ消し方」を実践していきましょう。簡単な方法から順に紹介しますので、一つずつ試してみてください。
まずは試したい基本的なワイヤレスイヤホンのノイズ消し方
もっとも基本的ですが、意外と見落としがちなのが以下の3ステップです。PCやスマホのトラブル同様、再起動は魔法のように問題を解決することがあります。
- イヤホンをケースに戻して充電する一度ケースに戻し、充電ランプが点灯することを確認して蓋を閉じます。10秒ほど待ってから再度取り出してください。これでイヤホンの電源が再起動されます。
- スマホ(送信側)のBluetoothをOFF/ONするスマホ側のBluetooth機能自体を一度OFFにし、数秒待ってからONにします。これで電波を探す動作がリフレッシュされます。
- スマホ自体を再起動するバックグラウンドで動いている他のアプリが悪さをしている可能性があります。スマホを再起動してメモリをクリアにしましょう。
これだけで「ジジジ」系のノイズが消えることは非常によくあります。
専用アプリを使って気になるホワイトノイズを消す方法
「ザー」というホワイトノイズが気になる場合、メーカー専用アプリで設定を変更することで劇的に改善する(消す)ことができます。Sony、Anker(Soundcore)、Boseなどの主要メーカーは、アプリ内で以下の調整が可能です。
- 外音取り込みレベルを下げる「外音取り込み」がMAXになっていると、環境音を拾いすぎて「サー」という音が大きくなります。レベルを1〜2段階下げるか、静かな場所ではOFFにしてみてください。
- ノイズキャンセリングのモード変更「強・中・弱」や「交通機関モード・屋内モード」などの切り替えがある場合、モードを変えてみてください。「屋内モード」にすると、ホワイトノイズが軽減される傾向にあります。
- イコライザー(EQ)の調整高音域(Treble)を上げすぎていると、ヒスノイズ(高周波のサーという音)が目立ちます。イコライザーを「フラット」または「標準」に戻してみてください。
参考リンク:
Bluetoothイヤホンの接続リセットとノイズ除去のテクニック
「ペアリング解除」と「リセット(工場出荷時状態に戻す)」は、別物です。ノイズ除去には、完全リセットが最も効果的です。
手順はメーカーによって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。
- 登録の解除: スマホのBluetooth設定画面から、対象のイヤホンを選び「このデバイスの登録を解除(削除)」を行います。
- Bluetooth OFF: スマホのBluetoothをOFFにします。
- イヤホンのリセット: イヤホンをケースに入れた状態で、ケースのボタン(またはイヤホンのタッチセンサー)を10秒〜20秒長押しします。
- ※LEDランプが赤く点滅したり、白く高速点滅したりすればリセット完了の合図です。
- 再ペアリング: スマホのBluetoothをONにし、再度ペアリングを行います。
この操作により、イヤホン内部のエラー情報や、左右の通信同期ズレが解消され、嘘のようにノイズが消えることがあります。
主要メーカーのリセット方法参照先:
端子の清掃やコーデック変更で接触・通信環境を改善する
1. 物理的な掃除(ビリビリ音・接触不良対策)
「ビリビリ」音や充電不良がある場合、掃除を行います。
- 音が出るメッシュ部分: 乾いた柔らかい歯ブラシなどで、優しくホコリを払い落とします。耳垢が詰まっていると音が歪みます。
- 充電端子: 綿棒に少量の無水エタノール(または乾拭き)をつけて、イヤホンとケースの金属接点を拭きます。電力供給が不安定だとノイズの原因になります。
2. コーデックと接続優先設定の変更
「ジジジ」という音飛びが激しい場合、音質よりも「接続の安定性」を優先する設定に変えます。
- Androidの場合: 開発者オプションからBluetoothオーディオコーデックを「LDAC」や「aptX」から、標準の「SBC」や「AAC」に変更してみる。
- 専用アプリ: アプリ内に「音質優先モード」と「接続優先モード」がある場合、**「接続優先モード」**に切り替えてください。バッファ(データの余裕)が増え、ノイズが減ります。
3. PC接続時の「ザー」音対策
PCで「ザー」という音が酷い場合、サウンド設定を確認します。
- Windowsのタスクバー右下のスピーカーアイコンをクリック。
- 再生デバイスの選択肢に「Headset (〇〇 Hands-Free AG Audio)」と「Headphones (〇〇 Stereo)」の2つがありませんか?
- 音楽を聴く時は必ず**「Headphones (〇〇 Stereo)」**を選んでください。「Hands-Free」は通話用で、仕様上必ずノイズが乗ります。
それでも直らない場合は初期不良か寿命の可能性
ここまで紹介した「再起動」「アプリ設定」「完全リセット」「掃除」をすべて試しても、特定の「ザー」「ビリビリ」という音が消えない場合、残念ながら**「初期不良」または「故障(寿命)」**の可能性が高いです。
特に以下の症状がある場合は、自力での修復は不可能です。
- リセットしても片方だけ音が小さい、またはノイズが消えない
- イヤホンを振ると内部でカラカラと音がする
- 購入直後からずっと異音がしている
この場合は、速やかにメーカーのサポート窓口へ連絡しましょう。保証期間内(通常は1年)であれば、無償で新品交換してもらえる可能性が高いです。
メーカーへの問い合わせ時のポイント:
「雑音がします」と伝えるだけでなく、「リセットと再ペアリング、他デバイスでの接続確認は試しましたが改善しませんでした」と伝えると、サポート担当者もスムーズに交換対応の手続きに入ってくれます。
まとめ:ワイヤレスイヤホンの雑音「ザー」が直らない時は
ワイヤレスイヤホンの「ザー」という雑音は、その多くが**「外音取り込み機能の仕様」や「Bluetoothの電波干渉」**によるものです。
最後に、対処法のフローを振り返ります。
- 音を聞き分ける: 「ザー(仕様の可能性大)」「ジジジ(干渉)」「ビリビリ(故障の可能性大)」
- 設定を見直す: 外音取り込みOFF、接続優先モードへの切り替え
- リセットする: ペアリング解除と初期化(ファクトリーリセット)
- 掃除する: メッシュ部分と端子の清掃
- 環境を変える: 別の場所、別のデバイス(スマホ・PC)で試す
これらを試すことで、修理に出す手間をかけずに解決できるケースは非常に多いです。まずは諦めずに、記事内で紹介した「ノイズの消し方」を一つずつ試してみてください。快適な音楽ライフが戻ってくることを願っています。
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