ネックスピーカー遅延なし！ゲームやTVにおすすめの機種と選び方

2025年12月2日

FPSゲームで敵の足音が遅れて聞こえたり、ドラマの俳優の口の動きとセリフが合わずにイライラしたりしたことはありませんか？

首に掛けるだけで臨場感あふれるサウンドを楽しめる「ネックスピーカー」ですが、選び方を間違えると、この「音ズレ（遅延）」という最大のデメリットに悩まされることになります。

特に一般的なワイヤレスイヤホンと同じ感覚で安価な製品を選んでしまうと、コンマ数秒の遅延が命取りになるゲームや、没入感が重要な映画鑑賞では使い物にならないことも少なくありません。

しかし、安心してください。「接続方式」と「コーデック」という少しの知識さえあれば、ワイヤレスであっても遅延をほぼ感じない快適な環境を作ることができます。

この記事では、数ある製品の中から**「遅延なし」**に徹底的にこだわり、FPSゲーマーや映画ファンの厳しい基準もクリアできるおすすめのネックスピーカーと、失敗しない選び方を解説します。

記事のポイント

「遅延なし」を体感で実現するには「有線」または「2.4GHzデジタルワイヤレス」が最強
Bluetooth接続を選ぶなら「aptX LL」または「aptX Adaptive」対応が必須条件
テレビ視聴で使うなら、Bluetooth機能内蔵テレビでも「トランスミッター（送信機）」付きを選ぶべき
FPSで勝つため、または夫婦でテレビを楽しむためなど、目的に合わせた「特化型」を選ぶ

ネックスピーカーで「遅延なし」を実現するための選び方と基準

「ネックスピーカーは音が遅れる」という口コミを見かけることがありますが、これは半分正解で半分間違いです。正確には**「遅延する接続方式を選んでいるから遅れる」**のです。

ここでは、カタログスペックのどこを見れば「遅延なし」の製品を見分けられるのか、その基準を明確にします。

無線接続の落とし穴！Bluetoothと2.4GHz方式の違い

まず大前提として、ワイヤレス（無線）ネックスピーカーには、大きく分けて2つの通信方式が存在します。

Bluetooth方式
2.4GHzデジタルワイヤレス方式

一般的に普及しているのは「Bluetooth」ですが、実はBluetoothは本来、音楽を聴くために開発された規格であり、リアルタイム性が求められるゲームやテレビ視聴は苦手分野でした。データを圧縮して飛ばす処理に時間がかかるため、どうしても映像に対して音が遅れて届いてしまうのです。

一方で、ゲーミングデバイスなどで採用される**「2.4GHzデジタルワイヤレス方式」は、Wi-Fiと同じような帯域を使用し、専用のUSBドングル（送信機）を使って通信します。この方式はデータ転送速度が圧倒的に速く、「ほぼ有線と同じ」レベルの低遅延**を実現します。

もしあなたが、「Apex Legends」や「VALORANT」のような一瞬の判断が生死を分けるFPSゲームをプレイするためにネックスピーカーを探しているなら、Bluetoothではなく、この2.4GHz方式（または有線接続）を採用しているモデルを選ぶのが最も確実な正解です。

低遅延の要！aptX LL（Low Latency）対応モデルを探せ

「スマホでも使いたいから、やっぱりBluetoothが便利」という方も多いでしょう。その場合に必ずチェックしなければならないのが**「コーデック（Codec）」**です。

コーデックとは、音声を無線で飛ばす際の「圧縮方式」のことです。この規格によって、音質と遅延時間が劇的に変わります。

SBC: 標準的なコーデック。全ての機器が対応しているが、遅延が大きく（約0.22秒前後）、動画視聴では口パクのズレがはっきり分かる。
AAC: iPhoneなどで使われる高音質コーデック。SBCよりマシだが、やはりゲームや映画では遅延を感じる（約0.12秒前後）。
aptX: Androidで主流。遅延は少なめだが、まだ敏感な人は気付くレベル（約0.07秒前後）。
aptX LL (Low Latency): ここが重要です。「低遅延」に特化した規格で、遅延は0.04秒未満。人間の耳ではズレをほぼ感知できません。
aptX Adaptive: 最新規格。通信環境に合わせて品質と遅延を自動調整する、aptX LLの後継的な立ち位置。こちらも低遅延モードでは非常に優秀です。

Bluetooth接続のネックスピーカーで「遅延なし」を目指すなら、**「aptX LL」または「aptX Adaptive」**に対応していることが絶対条件です。「低遅延モード搭載」と書かれていても、SBC接続のまま強引にバッファを減らすだけの製品もあるため、必ずスペック表で対応コーデックを確認しましょう。

接続方式でどれだけズレる？ネックスピーカーの遅延時間を比較

では、実際にどれくらいの遅延時間（レイテンシ）なら人間は「遅延」と感じるのでしょうか。

一般的に、映像に対して音が**0.1秒（100ms）以上遅れると、多くの人が違和感を覚えると言われています。特にFPSなどのゲームでは0.05秒（50ms）**の遅れでも操作感に影響が出ます。

各接続方式による平均的な遅延時間を表にまとめました。

接続方式	コーデック/タイプ	平均遅延時間	ゲーム（FPS）	映画・テレビ	特徴
有線接続	USB / AUX	0 ms	◎	◎	最強。物理的に繋ぐため遅延はゼロ。充電切れの心配もない。
専用無線	2.4GHzワイヤレス	約 20 ms (0.02秒)	◎	◎	体感は有線と変わらない。ゲーミングモデルに多い。
Bluetooth	aptX LL	約 40 ms (0.04秒)	〇	◎	無線としては非常に優秀。テレビや映画なら全く問題なし。
Bluetooth	aptX Adaptive	約 50~80 ms	△~〇	〇	環境によるが、低遅延モードなら実用的。最新機種に多い。
Bluetooth	aptX	約 70 ms (0.07秒)	△	〇	RPGなら許容範囲だが、FPSや音ゲーは厳しい。
Bluetooth	AAC / SBC	約 120~220 ms (0.2秒以上)	×	×	非推奨。銃を撃ってから音が鳴るまでワンテンポ遅れる。

この表からも分かる通り、「有線」「2.4GHz」「aptX LL」の3つ以外は、遅延にこだわるなら避けるべきです。

「Bluetooth 5.0対応！」などのバージョン表記だけでは遅延の有無は判断できないため、必ず「コーデック」か「通信方式」を見て比較してください。

用途別！「遅延なし」ネックスピーカーのおすすめモデル

ここからは、実際に「遅延なし」環境を構築できるおすすめのネックスピーカーを、具体的な利用シーンに合わせて紹介します。

ゲームの遅延ストレスゼロへ！ゲーミングネックスピーカーのおすすめ

RPGやアクションゲームを長時間プレイする場合、ヘッドセットの締め付けや蒸れから解放されるネックスピーカーは最高の相棒になります。ゲーム用に選ぶなら、迷わず「ゲーミング」と名のつく特化モデルを選びましょう。

パナソニックゲーミングネックスピーカー SC-GN01

「ファイナルファンタジーXIV」のサウンドチームと共同開発された、ゲーマーのためのスタンダードモデルです。

接続方式: USB有線接続 / 3.5mmアナログ接続
遅延: 完全ゼロ（有線のため）
特徴: 4つのスピーカーによるリアルサラウンド

この製品の最大の特徴は**「有線専用」**であることです（給電用のUSBケーブルでPCやゲーム機と接続します）。

「え、ワイヤレスじゃないの？」と思われるかもしれませんが、バッテリー切れの心配がなく、物理的に遅延が発生しない有線こそが、長時間プレイするゲーマーにとっての最適解であるという設計思想です。

首元のマイクでボイスチャットも可能。3mのロングケーブルが付属するため、テレビから離れても余裕を持ってプレイできます。「絶対に遅延させたくない、かつ安価に高音質を手に入れたい」ならこれがベストバイです。

パナソニック公式：SC-GN01 商品紹介ページ

HORI ホリワイヤードゲーミングネックセット for PlayStation 5

PlayStation公式ライセンス商品であり、PS5の3Dオーディオに対応したモデルです。

接続方式: 3.5mmアナログ接続（コントローラーに直挿し）
遅延: ほぼゼロ（コントローラー経由）
特徴: 圧倒的な軽量設計と手元操作

コントローラーのイヤホンジャックに接続するタイプなので、擬似的なワイヤレス感覚で使えます。非常に軽量で長時間のプレイでも肩が凝りにくいのが魅力。手頃な価格でPS5の没入感を高めたい場合におすすめです。

株式会社ホリ公式：ゲーミングネックセット

FPSで勝つための「音の定位」と反応速度に特化したモデル

FPSやTPSにおいては、単に「音が遅れない」だけでなく、**「敵がどこにいるか（定位感）」**が重要です。足音の方向や銃声の位置を正確に把握できるハイエンドモデルを紹介します。

パナソニックゲーミングネックスピーカー SC-GNW10

先ほど紹介したSC-GN01の上位機種であり、待望のワイヤレスモデルです。

接続方式: 専用2.4GHzデジタルワイヤレス
遅延: 20ms以下（体感ゼロ）
特徴: 4スピーカーの出力アップ、サブウーファー強化

Bluetoothではなく、専用の送信機を使った2.4GHz通信を行うため、ワイヤレスでありながら有線同等の低遅延を実現しています。

4つのスピーカーが首を取り囲むように配置されており、「右後ろから足音が聞こえる」といった定位感が抜群に優れています。従来のSC-GN01よりも低音が強化されており、爆発音などの迫力も増しています。FPSで勝ちにいくなら、現状このモデルがネックスピーカー界の最高峰と言えます。

パナソニック公式：SC-GNW10 商品紹介ページ

テレビで2台同時接続しても低遅延！ペアで楽しむためのセット

「夫婦で夜中に映画を見たいけれど、近所迷惑になるから大きな音が出せない」「子供が寝た後に二人でNetflixを楽しみたい」

そんな時に活躍するのが、2台同時に接続できるネックスピーカーです。

しかし、通常のBluetooth接続では「2台同時接続」は非常にハードルが高く（マルチポイントとは異なります）、遅延も発生しやすくなります。これを解決するのが**「送信機（トランスミッター）同梱モデル」**です。

シャープ AQUOS サウンドパートナー AN-SS2

「重いのは嫌だ」「家事しながら使いたい」というニーズに応える、超軽量88gのモデルです。

接続方式: Bluetooth (aptX LL対応)
遅延: 極少（aptX LL接続時）
特徴: 2台同時接続が可能（要別売のもう1台）

付属のBluetooth送信機をテレビに繋ぐことで、「aptX LL」という低遅延コーデックで接続できます。

さらに素晴らしいのが、この付属送信機を使えば2台のAN-SS2に対して同時に音声を飛ばせる点です（デュアルストリーミング機能）。

2台接続してもaptX LLの低遅延は維持されるため、二人で同じ映画を見ても口パクのズレがありません。価格も手頃で、リビング用として最強のコストパフォーマンスを誇ります。

シャープ公式：AQUOS サウンドパートナー AN-SS2

ソニーワイヤレスネックバンドスピーカー SRS-NS7

ソニーの技術を結集した、Dolby Atmos対応のハイエンドモデルです。

接続方式: Bluetooth (SBC/AAC/LDAC) ※付属トランスミッター使用
遅延: 専用トランスミッター使用で動画視聴に最適化
特徴: BRAVIA XRとの連携で360立体音響

ソニーのBRAVIA XRシリーズを持っているならこれ一択です。付属のトランスミッターとBRAVIAを光デジタルケーブル等で繋ぐことで、驚異的な立体音響を楽しめます。

映画鑑賞における没入感は映画館レベル。2台同時接続も可能ですが、その場合は360立体音響機能はオフになります。それでもソニーならではの高音質と安定した接続性は、映画好きにはたまりません。

ソニー公式：SRS-NS7

オーディオテクニカ AT-SP350TV

機械が苦手な方でも簡単に使える、テレビ視聴に特化したモデルです。

接続方式: 専用2.4GHzデジタルワイヤレス
遅延: なし
特徴: 置くだけ充電、「はっきり音」機能

Bluetooth設定などのペアリング作業が不要で、送信機をテレビに繋げばすぐに使えます。2.4GHz帯を使用しているため音の遅延は皆無。

人の声を聞き取りやすくする「はっきり音」機能があり、ニュースやドラマのセリフが非常にクリアに聞こえます。ご高齢の方へのプレゼントとしても人気ですが、遅延のないクリアな音質はアニメ視聴などにも最適です。

オーディオテクニカ公式：AT-SP350TV

まとめ：ネックスピーカー遅延なしでゲームもテレビも快適に

ネックスピーカーを選ぶ際、「遅延なし」を実現するために重要なポイントを振り返ります。

徹底的に遅延をなくすなら：有線（Panasonic SC-GN01など）または2.4GHzワイヤレス（Panasonic SC-GNW10、オーディオテクニカ AT-SP350TV）を選ぶ。
Bluetoothで低遅延を狙うなら：必ずスペック表で**「aptX LL」または「aptX Adaptive」**対応を確認する。
テレビで使うなら：テレビ側のBluetooth機能に頼らず、**「専用トランスミッター」**が付属しているモデルを選ぶことで、遅延トラブルを回避し、2台同時接続などのメリットも享受できる。

「たかが音の遅れ」と思うかもしれませんが、0.1秒のズレがなくなるだけで、ゲームのスコアは上がり、映画の感動は何倍にも膨れ上がります。

安価なSBC接続の製品で妥協せず、ぜひこの記事で紹介した基準を参考に、ストレスフリーな視聴環境を手に入れてください。

耳を塞がない開放感と、遅延のないダイレクトなサウンドが、あなたのエンタメ時間をより贅沢なものに変えてくれるはずです。

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